第60回作業療法士午前問題 14 解説

34歳の女性。中学校教諭。既婚で4歳と6歳の子供がいる。半年前に学年主任になった頃から不眠が続き、欠勤が多くなった。3カ月前から食欲不振、焦燥感および不安感が出現し、「死にたい」と訴えたため精神科を受診した。診察の結果、休職して入院治療を受けることになった。入院後、食欲は改善し、焦燥感と不安の訴えは少なくなったが、意欲低下の状態が続き、対人交流が苦痛であると訴えた。入院3週目に意欲の向上を目的に作業療法が開始された。

作業療法開始時に予想される症状はどれか。

  1. 感情鈍磨
  2. 強迫観念
  3. 思考制止
  4. 滅裂思考
  5. 両価性

この症例の症状から、うつ病であることが推察されます。

  1. 感情鈍磨とは、喜怒哀楽の表出が乏しくなると同時に表情も乏しくなり、他者の感情表出への共感が少なく、また周囲に対して無関心になります。統合失調症の陰性症状としてみられます。
  2. 強迫観念は、患者が自分の行為を不合理な行動とわかっていてもやめることのできない症状です。強迫性障害の特徴です。
  3. 思考制止は考えの進みが遅くなったり考えが思うように浮かばなくなる状態のことであり、判断力や思考力が低下します。うつ病に特徴的な症状です。
  4. 滅裂思考とは統合失調症の思考障害のひとつであり、試行のまとまりがなくなり、論理的な関連がない観念が結びつけられた状態となり、発言内容は周囲には理解されない。
  5. 両価性は、同一の対象に対して、「愛と憎しみ」のように相反する感情が同時に存在する状態を指します。統合失調症の代表的症状のひとつです。

以上から、この症例では3の思考制止が予想されます。

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