第60回作業療法士午前問題 10 解説

49歳の男性。右利き。右中大脳動脈の脳梗塞。回復期リハビリテーション病棟で作業療法が開始された。左上下肢に中等度の運動麻痺がある。BITは通常49/146、行動47/81。車いすでは常に図のような姿勢がみられた。

この患者への作業療法で最も適切なのはどれか。

  1. PQRST法
  2. 間隔伸長法
  3. 視覚走査法
  4. 遮断除去法
  5. 視覚イメージ法

この症例は右中大脳動脈領域の梗塞による左片麻痺で、BITの通常検査、行動検査ともにカットオフ値を下回っており、また図版では車いすの左ブレーキレバーがかかったまま、左フットプレートが畳まれていない状態にもかかわらず自走しようとしていることから、左半側空間無視である可能性が高いと思われます。

以上を踏まえて5択の検査法を調べると、

  1. PQRST法は記憶定着を容易にするための学習法であり、記憶障害の患者に用いられることが多い。
  2. 間隔伸長法は認知症やCVAなどの記憶低下がある症例に対して記憶能力の改善を目的とする。
  3. 半側空間無視によって視線が片側に偏る症例に対して視覚的、聴覚的に無視側への気づきを促す。
  4. 遮断除去法は失語症に対する言語リハビリテーション法のひとつである。
  5. 視覚イメージ法は記憶したい物事を視覚イメージと関連付けて覚える訓練法である。

問題の症例に最も適切なのは、3ですね。


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