第60回OT午前問題 13 解説

63歳の男性。アルコール依存症。就職直後より毎晩大量に飲酒していた。40歳代で入院し診断を受けた。以後は定職に就かず、連続飲酒による入退院を繰り返している。最近、気分の変動や失見当識が出現し、羽ばたき振戦も認められるようになった。

最も考えられるのはどれか。


  1. 肝性脳症
  2. 進行麻痺
  3. 正常圧水頭症
  4. 尿毒症性脳症
  5. Cushing症候群

「羽ばたき振戦」というだけでピンときた方もいるでしょうが、ここは丁寧に解説していきましょう。

  1. 肝性脳症は肝硬変やアルコールなどによる肝機能障害によりアンモニアなどの毒素が肝臓で分解されずに脳に悪影響をおよぼし、見当識障害や人格変化、羽ばたき振戦、意識障害をきたします。
  2. 進行麻痺は梅毒による脳の病変で、認知障害や行動異常、不眠や不全麻痺がみられます。
  3. 正常圧水頭症は頭部外傷やくも膜下出血などがきっかけで脳脊髄液がうまく再吸収されないことにより起こります。症状は、認知障害や歩行障害、尿失禁などがあります。
  4. 尿毒症性脳症は腎障害により脳への悪影響をきたし、易疲労や記憶低下、情動障害や抑うつ、精神症状が出現します。
  5. Cushing症候群は副腎の腫瘍によりコルチゾールの過剰分泌や下垂体の副腎皮質刺激ホルモンの過剰分泌により引き起こされます。症状は中心性肥満や満月様顔貌、野牛肩、腹部赤色皮膚線条、血糖値の上昇などがあります。

というわけで、正解は1でした。


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