国試本番まであとわずか。
国家試験であと+1点できるかもしれないチップスを投稿します。第3弾は脳梗塞急性期の薬物治療についてです。昨年の国家試験から新カリキュラムに対応したものとなり、今後薬物治療の関する出題の頻度が増えることが予想されます。しっかり押さえておきましょう。
脳梗塞の治療の目的は、急性期と慢性期で大きく変わります。急性期には、救命、脳血流の早期回復による梗塞範囲の縮小、合併症の予防に重点が置かれます。一方、慢性期には再発の予防、後遺症の軽減に重点が置かれます。
急性期の治療における脳血流の回復による梗塞範囲の縮小とは、脳梗塞による虚血のため壊死した部位の周辺に存在する可逆性の領域(ペナンブラ)を血栓溶解療法による壊死から救うことです。血栓溶解療法(rt-PA)によりフィブリン分解を促進し血栓を溶解しますが、梗塞により脆くなった血管に血流が再開すると血管壁が破綻し脳出血を起こすことがあります(出血性脳梗塞)。そのため血栓溶解療法の適応は、脳血流の回復による梗塞範囲の縮小が神経予後を改善するベネフィットが、血流再開による脳出血のリスクを上回る発症後4.5時間以内とされています。
脳梗塞急性期には、血栓の増大や新たな血栓の形成による脳梗塞の増悪・再発予防のために、抗血小板薬や抗凝固薬療法が行われます。抗血小板薬は、脳内で血栓ができるアテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞に適応となります。抗血小板薬には、アスピリンやクロピドグレル、シロスタゾールがあります。抗凝固薬は、心臓内に血栓ができる心原性脳塞栓に適応となります。抗凝固薬には、クマリン系薬(ワルファリン)やDOACがあります。
抗凝固薬であるワルファリンは、肝臓でビタミンKと拮抗しビタミンK依存性凝固因子の産生を阻害することで、血栓形成を抑制します。そのため、ビタミンKを多く含む食品(納豆など)の摂取が制限が必要となります。また、NSAIDsなどはワルファリンの作用を増強するため注意が必要です。一方で、DOACではビタミンKを多く含む食品の摂取制限は不要です。また、ワルファリンよりも術前休薬期間が短いという特徴があります。
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