55歳の女性。8年前に多発性硬化症と診断され、再発や寛解を繰り返し、2回の入院歴がある。現在は症状が落ち着いており、訪問理学療法で屋外歩行練習が実施されている。その際、理学療法士は運動強度を軽度から中等度とし、かつ、外気温の高い時間帯を避けて実施するなどに留意している。
 この理由として関係するのはどれか。
1.	Barré徴候
2.	Horner徴候
3.	Lhermitte徴候
4.	Tinel徴候
5.	Uhthoff徴候
解答: 5
解説
多発性硬化症
•	中枢神経系の脱髄疾患。脱髄巣が多発(空間的多発)し、症状の寛解と再発を繰り返す(時間的多発)。
•	若年成人に発症することが多く、平均発病年齢は30歳前後。男女比は1:2~3で女性に多い。
•	視力障害、構音障害、嚥下障害、運動麻痺、感覚障害、小脳性運動失調、膀胱直腸障害などの症状がある。
【特異的な症状】
①	視神経炎、球後視神経炎
②	外眼筋麻痺
③	Lhermitte徴候:頭部の前屈で電撃痛
④	有痛性強直性痙攣:激痛を伴う強直性痙攣
⑤	発作性かゆみ:感覚刺激で強い掻痒感
⑥	帯状絞扼感:体幹の帯状の異常感覚
⑦	急性横断性脊髄炎:急性発症の四肢麻痺や対麻痺
⑧	Useless hand syndrome:感覚障害で手が不器用
⑨	Uhthoff現象:体温上昇による症状の一過性悪化
Barré徴候:
 上肢や下肢に軽度の運動麻痺がある場合に現れる徴候。両上肢を手掌を上にして前方に挙上し閉眼させると、麻痺側上肢は回内し、次第に下りてくる。
Horner徴候:
 交感神経路の傷害により生じる。病側の縮瞳と眼瞼下垂、眼球陥凹、病側顔面の発汗減少と皮膚温上昇を伴う。
Tinel徴候:
 末梢神経の損傷部位を軽く叩くと、痛みがその神経の支配領域に放散する現象である。
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