32歳の女性。2週間前に上気道炎を発症し、5日前から四肢末端の異常感覚を自覚した。その後、徐々に四肢の脱力を認めた。Guillain-Barré症候群と診断され、直ちにγ-グロブリン大量静注療法を開始した。入院時の四肢筋力はMMTで段階4であったが、入院2日後には顔面筋麻痺と構音・嚥下障害が出現し、翌日には痰が多く呼吸困難が出現したため、気管挿管され人工呼吸管理となった。四肢筋力は近位筋で段階1、その他は段階2~3に低下している。
現時点で優先される治療はどれか。
1. 機能的電気刺激
2. 筋力増強運動
3. 座位練習
4. 自発呼吸練習
5. 排痰練習
解答: 5
解説
Guillain-Barré症候群
【症状】
• Guillain-Barré症候群は、自己免疫機序により、末梢神経の脱髄が生じる疾患である。
• 上気道感染、下痢症ののちに発症することが多い。
• 神経症状の主体は急速な運動神経麻痺である。
• 筋力低下は通常下肢遠位筋より始まり、麻痺が進行する場合には、呼吸筋、顔面筋、嚥下筋に障害が及ぶ。
• 症状は数週間でピークに達し、数か月で軽快する例が多い。
【診断】
• 髄液の蛋白が発症2~3週後より上昇する。
• その際、細胞数の増加はみられない。
• 神経の脱髄により、神経伝達速度は低下する。
【リハビリテーション】
• 筋力低下時に関節拘縮の予防を行い、運動麻痺の進行が停止したら、過用に注意しながら低負荷反復訓練で、筋力増強訓練を行う。
• 呼吸筋麻痺に対しては、体位排痰法を指導する。
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